問1 指導法・コーチング
トレーニング指導者がクライアントの主観的運動強度を把握するために用いる「ボルグスケール(RPE)」について、最も適切な説明はどれか。
- a心拍数を機械的に測定する装置の名称である
- b運動中の自覚的なきつさを数値で評価する指標である
- c1回の挙上重量から最大筋力を推定する計算式である
- d関節可動域を角度で測定する評価法である
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正解:b. 運動中の自覚的なきつさを数値で評価する指標である
ボルグスケール(RPE:主観的運動強度)は、運動中に本人が感じる「きつさ」を数値化して評価する指標で、6〜20または0〜10のスケールがある。心拍数を直接測れない場面でも強度管理ができ、指導現場で広く活用される。
問2 指導法・コーチング
新規クライアントへの初回指導において、トレーニング指導者がまず行うべきこととして最も適切なのはどれか。
- aいきなり最大重量に挑戦させ筋力を測定する
- b健康状態・既往歴・運動歴などの問診(メディカルチェック含む)を行う
- c本人の希望を聞かずに標準的なプログラムを一律に課す
- d他のクライアントと競争させて意欲を高める
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正解:b. 健康状態・既往歴・運動歴などの問診(メディカルチェック含む)を行う
安全な指導の前提として、開始前に健康状態・既往歴・服薬・運動経験などの情報収集とリスクの把握(スクリーニング)を行うことが基本である。これにより禁忌や注意点を把握し、個別性に応じた安全なプログラムを設計できる。
問3 指導法・コーチング
動作観察において、スクワット中に「膝が内側に入る(knee-in)」動作が見られた場合の指導者の対応として最も適切なのはどれか。
- a問題ないので無視してそのまま継続させる
- b膝とつま先の向きを揃えるよう声かけし、必要に応じ負荷や可動域を調整する
- c即座に重量を最大まで増やして矯正する
- d痛みがなければフォームは一切修正しない
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正解:b. 膝とつま先の向きを揃えるよう声かけし、必要に応じ負荷や可動域を調整する
膝が内側に入る動作は膝関節への過度なストレスや傷害リスクと関連するため、膝とつま先の方向を一致させるキューイングや負荷・可動域の調整で修正する。安全と効果の両面から、誤った動作パターンは早期に是正することが望ましい。
問4 指導法・コーチング
効果的なキューイング(声かけ)に関する記述として最も適切なのはどれか。
- a一度に多くの修正点を細かく長文で伝えるほどよい
- b簡潔で具体的な指示を、優先順位の高いものから少数に絞って伝える
- c専門用語を多用し初心者にも難しく説明する
- d無言で見守り、声かけは一切しない
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正解:b. 簡潔で具体的な指示を、優先順位の高いものから少数に絞って伝える
キューイングは短く具体的で、一度に伝える情報を絞ることで理解と実行が容易になる。多くの修正を同時に伝えると混乱を招くため、最も重要な点に優先順位をつけて段階的に指導するのが効果的である。
問5 指導法・コーチング
トレーニング指導者の職業倫理として、クライアントの個人情報(健康状態・連絡先など)の取り扱いについて最も適切なのはどれか。
- a指導の宣伝材料として本人の同意なく公開してよい
- b守秘義務を守り、正当な理由と本人同意なく第三者へ漏らさない
- c他のクライアントとの会話の話題として自由に使ってよい
- dSNSに実名と成果を許可なく投稿してよい
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正解:b. 守秘義務を守り、正当な理由と本人同意なく第三者へ漏らさない
指導者は職業倫理として守秘義務を負い、業務上知り得たクライアントの個人情報は本人の同意や正当な理由なく第三者に開示してはならない。信頼関係の基盤であり、個人情報保護の観点からも厳守すべき事項である。
問6 指導法・コーチング
指導中にクライアントが運動を継続できないほどの胸痛・強い息切れ・めまいを訴えた場合の対応として最も適切なのはどれか。
- a励ましてそのまま運動を続けさせる
- b直ちに運動を中止させ、状態を確認し必要に応じて救急要請や医療機関受診を促す
- c水を飲ませればよいので様子見で運動を続行する
- d本人の自己責任なので指導者は関与しない
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正解:b. 直ちに運動を中止させ、状態を確認し必要に応じて救急要請や医療機関受診を促す
胸痛・強い息切れ・めまいなどは運動中止基準にあたる危険兆候であり、直ちに運動を中止して状態を確認し、必要に応じて救急要請や医療機関受診につなげる。安全配慮義務の観点から、危険兆候を見逃さない対応が指導者に求められる。
問7 指導法・コーチング
フリーウェイト種目(例:ベンチプレスやスクワット)で高重量を扱う際の「スポッティング(補助)」の主目的として最も適切なのはどれか。
- aクライアントに代わって指導者が挙上動作の大半を行うこと
- b挙上が困難になった際の安全確保と、適切な補助・声かけを行うこと
- c重量を本人に知らせず勝手に増やすこと
- dフォームを一切見ずに会話を続けること
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正解:b. 挙上が困難になった際の安全確保と、適切な補助・声かけを行うこと
スポッティングの主目的は、挙上不能(つぶれ)時の傷害を防ぐ安全確保であり、必要最小限の補助と声かけでクライアント自身の遂行を支えることにある。補助しすぎてトレーニング効果を損なわないよう、適切なタイミングと量が重要である。
問8 指導法・コーチング
ウォーミングアップの目的に関する記述として最も適切なのはどれか。
- a筋肉を疲労させて主運動の強度を下げるため
- b体温・筋温を高め、関節可動域や神経筋の準備を整え傷害リスクを下げるため
- c主運動を省略して時間を短縮するため
- d汗をかくこと自体が唯一の目的である
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正解:b. 体温・筋温を高め、関節可動域や神経筋の準備を整え傷害リスクを下げるため
ウォーミングアップは体温・筋温の上昇、循環の促進、関節可動域や神経筋系の活性化を通じて、主運動のパフォーマンスを高め傷害リスクを低減することを目的とする。軽い有酸素運動や動的ストレッチが一般的に用いられる。
問9 指導法・コーチング
クライアントとの良好なコミュニケーションを築くうえで、指導者の傾聴姿勢として最も適切なのはどれか。
- a相手の話を途中でさえぎり自分の主張を優先する
- b相手の話を最後まで聞き、内容を確認・共感しながら理解に努める
- cクライアントの目標や悩みは聞かず指導者の方針のみ押し通す
- d返答せず無関心な態度を貫く
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正解:b. 相手の話を最後まで聞き、内容を確認・共感しながら理解に努める
傾聴はクライアントの目標・不安・状況を正確に理解し信頼関係を築く基盤であり、最後まで話を聞き、要点を確認し共感を示す姿勢が重要である。一方的な指示よりも、双方向のコミュニケーションが継続率や動機づけを高める。
問10 指導法・コーチング
指導者が自身の専門領域を超える対応(例:医学的診断や治療)を求められた場合の適切な行動はどれか。
- a自分の判断で診断名を伝え治療法を指示する
- b専門外であることを認識し、医師など適切な専門家への受診を勧める
- c曖昧な知識でサプリメントの治療効果を断言する
- dクライアントの不調を放置して指導を続ける
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正解:b. 専門外であることを認識し、医師など適切な専門家への受診を勧める
トレーニング指導者の役割は運動指導であり、医学的診断や治療は医師など有資格の専門家の領域である。専門外の事柄は自分で判断せず、適切な専門家へ紹介(リファー)することが職業倫理と安全の両面で求められる。
問11 指導法・コーチング
運動プログラム作成における「漸進性の原則(過負荷の漸進的な適用)」の説明として最も適切なのはどれか。
- a最初から最大負荷をかけ、その後は一切変えない
- b体力の向上に合わせて負荷を段階的・計画的に高めていく
- c負荷を毎回ランダムに大きく変動させる
- d負荷を常に一定に保ち変化させない
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正解:b. 体力の向上に合わせて負荷を段階的・計画的に高めていく
漸進性の原則は、身体が適応した分だけ負荷を段階的に高めることで継続的な向上を図る考え方であり、急激な負荷増加による傷害を避けつつ効果を引き出す。過負荷の原理とあわせてトレーニングの基本原則の一つとされる。
問12 指導法・コーチング
高齢のクライアントへのレジスタンストレーニング指導における配慮として、最も適切なのはどれか。
- a若年者と同じ高強度・高重量から一律に開始する
- b低めの負荷から始め、フォームと安全を重視しつつ段階的に進める
- c転倒リスクは無視して不安定な環境で行わせる
- d呼吸を止めて力むこと(怒責)を積極的に推奨する
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正解:b. 低めの負荷から始め、フォームと安全を重視しつつ段階的に進める
高齢者では関節・心血管系への配慮や転倒予防が重要であり、低負荷から開始してフォーム習得と安全を優先し、適応に応じて漸進的に強度を高めるのが適切である。怒責(息こらえ)は血圧上昇を招くため避け、適切な呼吸を促す。
問13 指導法・コーチング
運動学習の3段階モデル(フィッツとポズナー)において、最初の「認知段階(cognitive stage)」の特徴として最も適切なものはどれか。
- a動作の全体像を理解しようとし、誤りが多く動きがぎこちない段階
- b動作が自動化され、他の課題と同時並行で遂行できる段階
- c誤りが減り、動きの調整が滑らかになっていく段階
- d技能が完全に定着し、指導が一切不要になる段階
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正解:a. 動作の全体像を理解しようとし、誤りが多く動きがぎこちない段階
認知段階は学習者が課題の全体像や手順を理解しようとする初期段階で、試行錯誤が多く動作がぎこちない。続く連合段階で誤りが減り調整が滑らかになり、自動化段階で動作が無意識的に遂行できるようになる。
問14 指導法・コーチング
指導者が学習者の運動課題終了後に与える「結果の知識(KR: knowledge of results)」の説明として最も適切なものはどれか。
- a運動中のフォームや身体の動かし方そのものに関する情報
- b運動の結果や目標達成度(成否・到達距離など)に関する情報
- c学習者自身が内的感覚から得るフィードバック
- d指導者の表情やジェスチャーによる非言語的情報
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正解:b. 運動の結果や目標達成度(成否・到達距離など)に関する情報
結果の知識(KR)は動作の結果や目標達成度に関する外在的フィードバックである。一方、動作のフォームや動かし方そのものに関する情報はパフォーマンスの知識(KP: knowledge of performance)と呼ばれ、両者は区別される。
問15 指導法・コーチング
初心者に対して毎試行ごとに詳細なフィードバックを与え続けることの問題点として、運動学習の観点から指摘されるものはどれか。
- a学習者の動機づけが必ず低下する
- bフィードバックへの依存が生じ、自己修正能力の育成が妨げられることがある
- c短期的なパフォーマンスが必ず悪化する
- d学習者が指導内容をまったく理解できなくなる
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正解:b. フィードバックへの依存が生じ、自己修正能力の育成が妨げられることがある
毎試行の過剰なフィードバックはフィードバック依存(guidance効果)を招き、学習者自身が誤りを検出・修正する能力の発達を妨げうる。技能の定着段階では頻度を徐々に減らす(漸減的フィードバック)ことが推奨される。
問16 指導法・コーチング
新しい運動技能のデモンストレーション(示範)を行う際の配慮として、最も適切でないものはどれか。
- a学習者全員から見やすい位置と角度で示範する
- b重要なポイントを言語的に強調しながら示範する
- c一度に多くの注意点を詰め込み、長時間連続して示範する
- d必要に応じて正面・側面など複数の角度から示範する
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正解:c. 一度に多くの注意点を詰め込み、長時間連続して示範する
一度に多くの注意点を詰め込むと学習者の情報処理容量を超え、要点が伝わりにくくなる。示範は見やすい位置で、要点を絞り言語的キューと併用し、必要に応じて複数角度から簡潔に行うのが効果的である。
問17 指導法・コーチング
フリーウェイトでのスクワットなどにおける補助(スポット)に関する指導者の対応として、最も適切なものはどれか。
- a補助に入る前に、合図・回数・補助の方法などを実施者と事前に取り決めておく
- b実施者に何も伝えず、危険を感じた瞬間に黙って補助に入る
- c補助者は常に実施者から目を離し、周囲の安全だけを確認する
- d高重量ほど補助の打ち合わせは不要で、感覚に任せて対応する
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正解:a. 補助に入る前に、合図・回数・補助の方法などを実施者と事前に取り決めておく
安全な補助の前提は、合図・想定回数・補助の入り方などを実施者と事前に共有しておくことである。意思疎通がないまま補助すると、かえって挙上動作を乱したり傷害を招くおそれがあるため、声かけと打ち合わせが不可欠である。
問18 指導法・コーチング
トレーニング指導における目標設定で、SMARTの原則の「M(Measurable)」が示す要素はどれか。
- a達成可能であること
- b測定・評価が可能であること
- c期限が明確であること
- d本人にとって意味があること
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正解:b. 測定・評価が可能であること
SMARTの原則のMはMeasurable(測定可能)で、進捗や達成度を客観的に評価できる目標が望ましいことを示す。他の要素はSpecific(具体的)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-bound(期限)である。
問19 指導法・コーチング
集団(グループ)を対象としたトレーニング指導において、指導者の配慮として最も適切なものはどれか。
- a全員が指導者と示範を確認でき、指導者からも全員を見渡せる隊形を工夫する
- b最も体力レベルの低い参加者に合わせ、他の参加者の進度は無視する
- c個人差は考慮せず、全員に常に同一の負荷を一律に課す
- d参加者の背後に立ち、声だけで指示を出して動きは見ない
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正解:a. 全員が指導者と示範を確認でき、指導者からも全員を見渡せる隊形を工夫する
グループ指導では、参加者が示範や指示を確認でき、かつ指導者が全員の動作と安全を観察できる隊形・立ち位置を確保することが基本である。そのうえで個人差に応じた負荷の調整や声かけを行うことが望ましい。
問20 指導法・コーチング
練習の配分に関して、同一の運動課題をまとまった時間で集中して繰り返す方法を指す用語はどれか。
- a分散練習(distributed practice)
- b集中練習(massed practice)
- cランダム練習(random practice)
- dブロック練習(blocked practice)
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正解:b. 集中練習(massed practice)
休息をほとんど挟まず同一課題を集中して繰り返す方法を集中練習という。これに対し、練習の合間に十分な休息を入れる方法が分散練習で、一般に分散練習は疲労の蓄積を抑え学習に有利とされる。
問21 指導法・コーチング
トレーニング指導者の職業倫理・専門性に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- a自分の専門領域を超える医学的な診断や治療も積極的に行ってよい
- b一度資格を取得すれば、その後の知識更新や自己研鑽は不要である
- c自らの能力の限界を認識し、必要に応じて医師など他の専門職へ適切に紹介(リファー)する
- dクライアントの個人情報は指導の話題として自由に他者へ共有してよい
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正解:c. 自らの能力の限界を認識し、必要に応じて医師など他の専門職へ適切に紹介(リファー)する
指導者は自らの専門範囲の限界を理解し、医療的判断が必要な場合は医師等へ適切にリファーする責務がある。また継続的な自己研鑽と個人情報の守秘も職業倫理の基本であり、診断・治療行為は指導者の業務範囲外である。
問22 指導法・コーチング
運動技能を指導する際に用いる「キューイング(cueing)」として、外的焦点(external focus)を促す声かけの例はどれか。
- a「太ももの前の筋肉に力を入れて」
- b「自分の膝関節の角度を意識して」
- c「床を足で強く押すように」
- d「肩甲骨の動きそのものに集中して」
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正解:c. 「床を足で強く押すように」
外的焦点は身体外部の対象や動作の効果に注意を向けさせるもので、「床を押す」はその例である。これに対し筋肉や関節など自分の身体部位に注意を向けさせるのは内的焦点で、多くの研究で外的焦点の方が運動パフォーマンスや学習に有利とされる。
問23 指導法・コーチング
指導者が学習者に与えるフィードバックのタイミングに関する一般的な配慮として、最も適切なものはどれか。
- a学習者が自分の動作を振り返る間も与えず、運動直後に矢継ぎ早に与える
- b学習者自身による誤り検出の機会を残すため、ある程度の間(遅延)を設けることも有効である
- cフィードバックは必ず数日後にまとめて与えるのが最も効果的である
- dフィードバックは運動の最中に絶え間なく与え続けるのが常に最善である
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正解:b. 学習者自身による誤り検出の機会を残すため、ある程度の間(遅延)を設けることも有効である
運動直後に即座かつ過剰にフィードバックを与えると、学習者自身による誤り検出の機会を奪う。短い遅延を設けて自己評価を促すことや頻度を調整することが、自己修正能力の育成と長期的な学習に有効とされる。
問24 指導法・コーチング
トレーニング指導の開始前に行う「インフォームド・コンセント」や目標の共有の目的として、最も適切なものはどれか。
- a指導者が一方的にプログラムを決め、クライアントの同意を省略するため
- bリスクや内容・目標を説明し理解と同意を得たうえで、双方が共通認識を持って進めるため
- c万一の事故の際に責任をすべてクライアントへ転嫁するため
- dクライアントの希望や状態は考慮せず、画一的なプログラムを徹底するため
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正解:b. リスクや内容・目標を説明し理解と同意を得たうえで、双方が共通認識を持って進めるため
インフォームド・コンセントと目標共有は、運動内容・リスク・期待される効果を十分に説明し、理解と同意を得たうえで指導者とクライアントが共通の目標認識を持って取り組むためのものである。責任転嫁や画一化が目的ではなく、安全と信頼関係の基盤となる。
問25 指導法・コーチング
運動学習の段階論(Fittsらの3段階モデル)において、学習者が動作の基本的な構造を理解しようと試行錯誤し、エラーが多く認知的負荷が高い最初の段階はどれか。
- a認知段階(言語-認知段階)
- b連合段階(運動段階)
- c自動化段階
- d般化段階
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正解:a. 認知段階(言語-認知段階)
Fittsらの運動学習モデルでは、最初の認知段階で学習者は課題の理解に努め、エラーが多く意識的な注意を多く要する。次の連合段階でエラーが減り動作が洗練され、最終の自動化段階では意識的注意がほとんど不要になる。
問26 指導法・コーチング
トレーニング動作の習得初期において、指導者が一度に与えるフィードバックや教示の量に関する標準的な配慮として最も適切なものはどれか。
- aできるだけ多くの修正点を一度に伝え効率化する
- b重要な修正点を1〜2点に絞って簡潔に伝える
- cフィードバックは与えず本人に全て気づかせる
- d専門用語を多用して正確さを優先する
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正解:b. 重要な修正点を1〜2点に絞って簡潔に伝える
学習初期は認知的負荷が高いため、修正点を1〜2点に絞ることで学習者が処理しやすくなる。一度に多くの情報を与えると焦点が定まらず学習効率が下がるため、優先度の高い点に絞った簡潔な教示が推奨される。
問27 指導法・コーチング
結果の知識(KR)と運動の知識(KP)に関する説明として正しいものはどれか。
- aKRは動作のフォーム自体に関する情報である
- bKPは課題達成の結果に関する情報である
- cKRは課題の結果(成否や達成度)に関する情報である
- dKRとKPは同じ意味で区別されない
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正解:c. KRは課題の結果(成否や達成度)に関する情報である
結果の知識(Knowledge of Results: KR)は課題の達成度や成否といった結果に関する情報であり、運動の知識(Knowledge of Performance: KP)は動作のフォームやパターンそのものに関する情報である。両者は運動学習における外在的フィードバックとして区別される。
問28 指導法・コーチング
フリーウェイトでのスクワット指導において、安全配慮上のスポッティング(補助)の基本として最も適切なものはどれか。
- a補助者は常にバーの中央を片手で支える
- b補助者は実施者の腰や体幹を抱えるように支える
- c事前に合図や回数を打ち合わせ、挙上動作に合わせて備える
- d補助は最大挙上の1回目から積極的に手を添える
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正解:c. 事前に合図や回数を打ち合わせ、挙上動作に合わせて備える
スポッティングでは事前に実施者と補助者が回数や合図を打ち合わせ、危険時に速やかに介入できる姿勢で備えることが基本である。不要に早く手を添えると挙上を妨げ、合図の不一致は事故につながるため、コミュニケーションと準備が安全の要となる。
問29 指導法・コーチング
トレーニング指導における動作観察(フォームチェック)の手順として、最も適切な進め方はどれか。
- a最初から細部の関節角度のみを注視する
- b全体像を捉えてから問題の大きい部位へ焦点を移す
- c正面のみから観察し側面は確認しない
- d重量が軽いうちは観察を省略する
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正解:b. 全体像を捉えてから問題の大きい部位へ焦点を移す
動作観察ではまず全体の動きやリズム・バランスといった大局を把握し、その後で問題が大きい部位へ焦点を絞るのが効果的である。最初から細部に固執すると全体の協調性を見落としやすく、複数の方向(正面・側面など)からの観察が望ましい。
問30 指導法・コーチング
指導者と対象者のコミュニケーションにおける「傾聴」の態度として最も適切なものはどれか。
- a相手の話を要約・確認しながら相手の意図を正確に理解しようとする
- b自分の指導方針を優先し相手の発言は最小限にとどめる
- c相手の話の途中で結論を提示して時間を短縮する
- d専門家として相手の主観的な訴えは判断材料にしない
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正解:a. 相手の話を要約・確認しながら相手の意図を正確に理解しようとする
傾聴では相手の話を遮らず、要約や確認(言い換え)を通じて意図を正確に把握しようとする態度が重要である。これにより信頼関係(ラポール)が築かれ、対象者の主観的な訴えも安全管理やプログラム調整の重要な情報源となる。
問31 指導法・コーチング
JATI認定トレーニング指導者の職業倫理に関する記述として最も適切でないものはどれか。
- a自身の専門的力量の範囲を超える事案は適切な専門家へ照会する
- b対象者の個人情報やプライバシーを適切に保護する
- c効果を強調するため科学的根拠の乏しい断定的な宣伝を行ってもよい
- d対象者の尊厳と意思を尊重し安全を最優先する
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正解:c. 効果を強調するため科学的根拠の乏しい断定的な宣伝を行ってもよい
指導者は科学的根拠に基づき誠実に情報提供すべきであり、効果を誇張する根拠の乏しい断定的宣伝は職業倫理に反する。自己の専門範囲の自覚と適切な照会、個人情報保護、対象者の尊厳尊重と安全最優先は、いずれも標準的な職業倫理として求められる。
問32 指導法・コーチング
運動技能の練習配分において、休憩を多くとり疲労を抑えながら行う「分散練習」が、休憩の少ない「集中練習」と比べて一般に有利とされるのはどのような場面か。
- a短時間で最大の試行回数を稼ぎたい場合
- b疲労や安全リスクが高く動作の質を保ちたい場合
- cフィードバックを一切与えない場合
- d完全に自動化された動作の場合
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正解:b. 疲労や安全リスクが高く動作の質を保ちたい場合
分散練習は試行間の休憩が長く疲労が蓄積しにくいため、疲労による動作の崩れや安全リスクを抑えつつ動作の質を保ちたい場面で有利になりやすい。集中練習は時間効率はよいが疲労の影響を受けやすく、学習内容や対象者に応じた使い分けが必要である。
問33 指導法・コーチング
複雑な運動課題を部分ごとに分けて練習させる「分習法(部分練習)」が、課題全体を通して練習する「全習法」より適している典型的な場面はどれか。
- a動作が単純で短く要素間の関連が強い課題
- b要素が多く複雑で、部分ごとの難所がある課題
- cすでに自動化された熟練者の維持練習
- dウォームアップのみの軽い動作
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正解:b. 要素が多く複雑で、部分ごとの難所がある課題
分習法は、要素が多く複雑で特定の難所がある課題において、その部分を取り出して集中的に習得させるのに適する。一方、動作が単純で要素間の連係が強い課題では全習法のほうが動作のつながりを損なわず効果的とされる。
問34 指導法・コーチング
指導目標の設定における「SMART」の原則として含まれないものはどれか。
- a具体的である(Specific)
- b測定可能である(Measurable)
- c期限が定められている(Time-bound)
- d主観的である(Subjective)
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正解:d. 主観的である(Subjective)
SMARTの原則はSpecific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性がある)、Time-bound(期限がある)で構成される。主観的(Subjective)は含まれず、目標はむしろ客観的・測定可能であることが望ましい。
問35 指導法・コーチング
トレーニング指導における安全管理として、運動開始前に確認すべき事項として最も優先度が高いものはどれか。
- a対象者の健康状態やメディカルチェック・リスクの把握
- b当日の照明の色合い
- cBGMの選曲
- dタオルの枚数
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正解:a. 対象者の健康状態やメディカルチェック・リスクの把握
運動開始前には対象者の健康状態、既往歴やリスク要因の把握(メディカルチェックやPAR-Q等の確認)が最優先される。これにより禁忌や運動制限を踏まえた安全なプログラム提供が可能になり、事故や事故後の責任問題の予防にもつながる。
問36 指導法・コーチング
新しい動作を指導する際の「デモンストレーション(示範)」に関する配慮として最も適切なものはどれか。
- a学習者が見やすい位置・角度から正確なモデルを示す
- bあえて誤ったフォームを最初に見せて記憶させる
- c示範は言葉での説明を完全に置き換えるものである
- d示範は熟練者にのみ有効で初心者には不要である
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正解:a. 学習者が見やすい位置・角度から正確なモデルを示す
示範では学習者が見やすい位置と角度から正確な動作モデルを提示することが重要で、特に学習初期の運動イメージ形成に有効である。誤ったフォームを先に見せると誤った運動表象が形成されやすく、示範は言語教示と併用することで効果が高まる。
問37 指導法・コーチング
自重・低負荷から段階的に難度や負荷を高めていく「漸進性」を指導手順に反映させる目的として最も適切なものはどれか。
- a対象者に動作習得と適応の時間を与え安全に進めるため
- bできるだけ早く高重量を扱わせ意欲を高めるため
- c個人差を無視して一律のメニューにするため
- dフィードバックを不要にするため
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正解:a. 対象者に動作習得と適応の時間を与え安全に進めるため
漸進性の原則に基づき負荷や難度を段階的に高めることで、対象者が正しい動作を習得し、身体が適応する時間を確保しながら傷害リスクを抑えられる。初心者に対していきなり高負荷を課すことは動作の破綻や傷害につながるため避けるべきである。
問38 指導法・コーチング
集団指導の場面で、対象者間に体力差がある場合の指導上の工夫として最も適切なものはどれか。
- a最も体力の高い者に合わせて全員同一の負荷にする
- b各人の能力に応じて運動強度や代替種目を用意する
- c最も体力の低い者だけを別室に隔離する
- d全員に最大努力を強制して差をなくす
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正解:b. 各人の能力に応じて運動強度や代替種目を用意する
体力差のある集団では、各人の能力に応じて強度を調整したり代替種目(漸進・退行のバリエーション)を用意することで、安全かつ効果的に全員を指導できる。一律に高い負荷を課すと低体力者に過負荷となり、傷害や脱落のリスクが高まる。