問1 運動生理学
安静時の基礎代謝量(BMR)について、最も正しい説明はどれか。
- a1日の総エネルギー消費量のうち最も大きな割合を占める
- b食事による熱産生(DIT)と同義である
- c運動によるエネルギー消費を含んだ値である
- d筋量が多いほど低くなる傾向がある
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正解:a. 1日の総エネルギー消費量のうち最も大きな割合を占める
基礎代謝量は生命維持に必要な最低限のエネルギーで、多くの人で1日の総エネルギー消費量の約60〜70%を占め最大の割合となる。除脂肪量(筋量)が多いほど基礎代謝は高くなる傾向があり、食事誘発性熱産生や活動代謝とは区別される。
問2 運動生理学
短時間・高強度の運動(全力ダッシュ数秒〜10秒程度)で主に使われるエネルギー供給機構はどれか。
- a有酸素系(酸化機構)
- bATP-PCr系(クレアチンリン酸系)
- c解糖系(乳酸系)を中心とした長時間供給
- d脂質のβ酸化
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正解:b. ATP-PCr系(クレアチンリン酸系)
数秒から約10秒の最大努力では、筋内に蓄えられたATPとクレアチンリン酸を分解して即座にATPを再合成するATP-PCr系が主役となる。酸素を必要とせず最も速くエネルギーを供給できるが、貯蔵量が少なく短時間しか維持できない。
問3 運動生理学
低〜中強度の長時間運動(ジョギングなど)におけるエネルギー基質の使い分けとして、最も適切なのはどれか。
- a強度が低いほど糖質の利用割合が高まる
- b強度が上がるほど脂質の利用割合が相対的に高まる
- c低〜中強度では脂質が主要なエネルギー源として利用されやすい
- d運動中は脂質のみが使われ糖質は使われない
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正解:c. 低〜中強度では脂質が主要なエネルギー源として利用されやすい
低〜中強度の有酸素運動では脂質(脂肪酸)が主要なエネルギー源として多く利用される。運動強度が上がるほど相対的に糖質(グリコーゲン)の利用割合が増え、脂質の割合は相対的に低下する。実際には糖質と脂質が同時に利用され、どちらか一方だけが使われることはない。
問4 運動生理学
有酸素運動を長期間継続したときに生じる代表的なトレーニング適応として、最も適切なものはどれか。
- a最大心拍数が大きく増加する
- b安静時心拍数が低下し、1回拍出量が増加する
- cミトコンドリアの数や毛細血管密度が減少する
- d最大酸素摂取量(VO2max)が低下する
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正解:b. 安静時心拍数が低下し、1回拍出量が増加する
持久性トレーニングの適応として心臓の1回拍出量が増え、同じ拍出量をより少ない心拍数でまかなえるため安静時心拍数が低下する。あわせてミトコンドリア数や毛細血管密度の増加、VO2maxの向上が起こる。最大心拍数はトレーニングで大きくは変化しない。
問5 運動生理学
運動開始直後に酸素供給が需要に追いつかず一時的に不足する状態を補う仕組みを何というか。
- a酸素借(オキシジェンデット)
- b無酸素性作業閾値の上昇
- cクレブス回路の停止
- d呼吸商の低下
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正解:a. 酸素借(オキシジェンデット)
運動開始時は酸素摂取が需要に追いつかず、不足分をATP-PCrや解糖系などの無酸素性供給で補う。この不足分が酸素借であり、運動後に酸素摂取が安静値より高い状態(EPOC、酸素負債)が続くことで返済される。
問6 運動生理学
運動中の心血管系の応答として、正しいものはどれか。
- a運動強度が上がっても心拍出量は一定に保たれる
- b運動強度の増加に伴い心拍数と1回拍出量が増え、心拍出量が増加する
- c活動筋への血流配分は安静時より減少する
- d収縮期血圧は運動強度が上がっても変化しない
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正解:b. 運動強度の増加に伴い心拍数と1回拍出量が増え、心拍出量が増加する
動的運動では強度の増加に伴い心拍数が直線的に増え、1回拍出量も(中強度までは)増加するため、その積である心拍出量が増大する。血流は活動筋へ優先的に再配分され、収縮期血圧は運動強度に応じて上昇する。
問7 運動生理学
呼吸商(RQ)または呼吸交換比から運動中のエネルギー基質を推定する場合、RQが約1.0に近いことが示すものはどれか。
- a脂質が主に利用されている
- bタンパク質のみが利用されている
- c糖質が主に利用されている
- dエネルギー代謝が停止している
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正解:c. 糖質が主に利用されている
呼吸商は消費した酸素に対する産生した二酸化炭素の比で、糖質が完全に酸化されるときは約1.0、脂質では約0.7となる。したがってRQが1.0に近いほど糖質の利用割合が高く、高強度運動時にこの傾向が強まる。
問8 運動生理学
運動後の超過酸素消費(EPOC、いわゆるアフターバーン)についての説明として最も適切なものはどれか。
- a運動が終われば代謝はすぐに安静レベルへ戻る
- b運動後もしばらく酸素摂取が安静時より高い状態が続く
- c低強度よりも安静そのものでEPOCが大きくなる
- dEPOCは筋温の低下のみによって起こる
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正解:b. 運動後もしばらく酸素摂取が安静時より高い状態が続く
EPOCは運動後も酸素摂取量が安静値より高く維持される現象で、ATP-PCrの再充填、乳酸の処理、体温・ホルモンの正常化などにエネルギーが使われるために生じる。一般に運動の強度や時間が大きいほどEPOCも大きくなる。
問9 運動生理学
持久系運動における主要な貯蔵エネルギー源であるグリコーゲンについて、正しいものはどれか。
- a肝臓と骨格筋に貯蔵される
- b脂肪細胞にのみ貯蔵される
- c体内に無制限に貯蔵できる
- d運動では一切消費されない
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正解:a. 肝臓と骨格筋に貯蔵される
グリコーゲンはブドウ糖が連なった貯蔵多糖で、主に肝臓と骨格筋に蓄えられる。筋グリコーゲンは運動中の主要な糖質源として消費され、貯蔵量には限りがあるため長時間運動では枯渇が疲労の一因となる。
問10 運動生理学
最大酸素摂取量(VO2max)についての説明として最も適切なものはどれか。
- a瞬発的なパワーを示す無酸素能力の指標である
- b全身持久力(有酸素能力)を表す代表的な指標である
- c筋力の大きさを直接示す指標である
- d柔軟性の高さを表す指標である
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正解:b. 全身持久力(有酸素能力)を表す代表的な指標である
VO2maxは単位時間あたりに体内で利用できる酸素の最大量で、心肺機能と筋の酸素利用能を反映する全身持久力(有酸素能力)の代表的指標である。瞬発的なパワーや筋力、柔軟性とは別の体力要素を評価する。
問11 運動生理学
高強度の運動で解糖系が活発に働いた結果、筋や血中に蓄積し疲労に関連すると考えられる代謝産物はどれか。
- aクレアチンリン酸
- b乳酸(および水素イオン)
- cグリコーゲン
- d遊離脂肪酸
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正解:b. 乳酸(および水素イオン)
高強度運動では酸素供給が不足し、解糖系でピルビン酸が乳酸へ変換される過程が増えるため、乳酸と水素イオンが蓄積する。水素イオンによる筋内pHの低下が高強度運動時の疲労に関連すると考えられている。
問12 運動生理学
運動中の体温調節と発汗について、最も適切なものはどれか。
- a発汗による気化熱は体温上昇を抑える主要な放熱手段である
- b運動中は発汗を抑えるほど体温調節がうまくいく
- c高温多湿環境では汗が蒸発しやすく放熱効率が高まる
- d水分補給は脱水を悪化させるため運動中は避けるべきである
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正解:a. 発汗による気化熱は体温上昇を抑える主要な放熱手段である
運動で産生された熱は主に皮膚からの放熱で処理され、特に汗が蒸発する際の気化熱が重要な放熱手段となる。高温多湿環境では汗が蒸発しにくく放熱効率が落ちて熱中症リスクが高まるため、適切な水分補給で脱水を防ぐことが重要である。
問13 運動生理学
短時間・高強度運動(数秒〜10秒程度の全力運動)で最も主要にエネルギーを供給するシステムはどれか。
- aATP-CP系(ホスファゲン系)
- b解糖系(乳酸系)
- c有酸素系(酸化系)
- d脂肪酸のβ酸化
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正解:a. ATP-CP系(ホスファゲン系)
ウェイトリフティングや短距離ダッシュなど数秒〜約10秒の全力運動では、筋内に貯蔵されたATPとクレアチンリン酸(CP)を分解するATP-CP系が主に働く。酸素を必要とせず最も速くエネルギーを供給できるが、貯蔵量が少ないため持続時間は短い。
問14 運動生理学
おおむね30秒〜2分程度の高強度運動で主体となるエネルギー供給機構と、その代謝産物の組み合わせとして正しいものはどれか。
- a有酸素系 — 二酸化炭素と水
- bATP-CP系 — クレアチン
- c解糖系(無酸素的) — 乳酸
- dβ酸化 — ケトン体
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正解:c. 解糖系(無酸素的) — 乳酸
400m走など30秒〜2分程度の高強度運動では、グルコースを酸素なしで分解する解糖系が主体となり、副産物として乳酸が蓄積する。乳酸の蓄積は筋内pHの低下を伴い、疲労の一因となる。
問15 運動生理学
長時間の低〜中強度の有酸素運動において、運動時間が長くなるにつれてエネルギー基質の利用に起こる変化として最も適切なものはどれか。
- a糖質の利用割合が増え、脂質の利用割合が減る
- b脂質の利用割合が増え、相対的に糖質の利用割合が減る
- cタンパク質が一貫して主要なエネルギー源となる
- d基質の利用割合は時間によって変化しない
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正解:b. 脂質の利用割合が増え、相対的に糖質の利用割合が減る
運動開始直後は糖質(グリコーゲン)の依存度が高いが、長時間の有酸素運動が続くと糖質貯蔵が減少し、脂肪(脂肪酸)の酸化によるエネルギー供給割合が相対的に高まる。これが持久運動で脂肪の寄与が増していく理由である。
問16 運動生理学
最大酸素摂取量(VO2max)が示す指標として最も適切なものはどれか。
- a最大筋力の指標
- b全身持久力(有酸素能力)の指標
- c柔軟性の指標
- d瞬発力(パワー)の指標
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正解:b. 全身持久力(有酸素能力)の指標
VO2max(最大酸素摂取量)は、運動中に体が単位時間あたり摂取・利用できる酸素の最大量で、全身持久力(有酸素的作業能力)を表す代表的な指標である。心肺機能や骨格筋のミトコンドリア機能などを総合的に反映する。
問17 運動生理学
持久性トレーニング(有酸素トレーニング)を継続したときに骨格筋で起こる適応として正しいものはどれか。
- aミトコンドリアの数と毛細血管密度が増加する
- b速筋線維が肥大し最大筋力が著しく向上する
- cミトコンドリアが減少しエネルギー効率が低下する
- d毛細血管が減少し酸素供給が制限される
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正解:a. ミトコンドリアの数と毛細血管密度が増加する
持久性トレーニングでは、骨格筋内のミトコンドリア数・酸化系酵素活性の増加と毛細血管密度の増加が起こり、酸素の供給・利用能力が高まる。これにより同じ運動強度でも脂質利用が進み、持久力が向上する。
問18 運動生理学
1回拍出量(SV)が増加し安静時心拍数が低下する「スポーツ心臓」的適応が最も起こりやすいトレーニングはどれか。
- a最大筋力を狙った高重量レジスタンストレーニング
- b持久性(有酸素)トレーニング
- c静的ストレッチング
- d短時間の柔軟性トレーニング
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正解:b. 持久性(有酸素)トレーニング
持久性トレーニングを継続すると、心室容積の拡大などにより1回拍出量(SV)が増加し、同じ心拍出量を得るのに必要な心拍数が減るため安静時心拍数が低下する。これは持久系アスリートに典型的な心血管系の適応である。
問19 運動生理学
運動後に酸素摂取量が安静値より高い状態が続く現象を表す用語はどれか。
- a酸素借(オキシジェンデフィシット)
- bEPOC(運動後過剰酸素消費)
- c無酸素性作業閾値(AT)
- dクレアチンキナーゼ反応
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正解:b. EPOC(運動後過剰酸素消費)
EPOC(Excess Post-exercise Oxygen Consumption、運動後過剰酸素消費)は、運動終了後も酸素摂取が高いまま続く現象で、CP再合成、乳酸処理、体温・ホルモン上昇からの回復などに使われる。運動強度が高いほどEPOCは大きくなる傾向がある。
問20 運動生理学
1回の最大努力で発揮できる筋力の向上(最大筋力の増大)を主目的とするときの神経・筋の主な適応として最も適切なものはどれか。
- a運動単位の動員増加など神経系の適応と筋線維の肥大
- bミトコンドリア数の増加のみ
- c毛細血管密度の増加が主体
- d関節可動域の拡大が主体
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正解:a. 運動単位の動員増加など神経系の適応と筋線維の肥大
レジスタンストレーニング初期はまず運動単位の動員数や発火頻度の増加といった神経系の適応によって筋力が向上し、継続すると筋線維の肥大(横断面積の増大)が加わる。持久系で見られる毛細血管・ミトコンドリアの増加とは適応の主軸が異なる。
問21 運動生理学
骨格筋線維のタイプに関する説明として正しいものはどれか。
- a遅筋線維(タイプI)は疲労しにくく持久的な活動に適する
- b遅筋線維(タイプI)は最も速く大きな力を出すが疲労しやすい
- c速筋線維(タイプII)は毛細血管とミトコンドリアが最も豊富で疲労しにくい
- d速筋線維(タイプII)は主に姿勢維持などの持久的活動に使われる
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正解:a. 遅筋線維(タイプI)は疲労しにくく持久的な活動に適する
遅筋線維(タイプI)はミトコンドリアと毛細血管が豊富で酸化能力が高く、疲労しにくいため持久的な活動や姿勢維持に適する。一方、速筋線維(タイプII)は収縮速度が速く大きな力を出せるが疲労しやすく、瞬発的な運動で主に動員される。
問22 運動生理学
一定の有酸素運動を一定強度で続けたとき、酸素摂取量や心拍数が安定した一定水準に落ち着く状態を指す用語はどれか。
- a定常状態(ステディステート)
- b酸素負債
- cオールアウト
- dクレアチンローディング
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正解:a. 定常状態(ステディステート)
適度な一定強度の有酸素運動では、酸素需要と供給が釣り合い、酸素摂取量や心拍数がほぼ一定の水準で安定する。この状態を定常状態(ステディステート)と呼び、このときエネルギーは主に有酸素的に供給される。
問23 運動生理学
運動強度が上がるにつれて血中乳酸が急激に増加し始める強度を指す概念はどれか。
- a最大心拍数
- b無酸素性作業閾値(乳酸性作業閾値、AT/LT)
- c安静時代謝量(RMR)
- d呼吸交換比の下限
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正解:b. 無酸素性作業閾値(乳酸性作業閾値、AT/LT)
運動強度を漸増させると、ある強度を境に乳酸の産生が処理を上回り血中乳酸が急増する。この強度を無酸素性作業閾値(AT)あるいは乳酸性作業閾値(LT)と呼び、持久的パフォーマンスの重要な指標として用いられる。
問24 運動生理学
運動中の骨格筋への酸素・栄養供給に関する循環系の応答として正しいものはどれか。
- a活動筋の血管が拡張し、運動筋への血流配分が増加する
- b活動筋の血管が収縮し、運動筋への血流が減少する
- c心拍出量は運動強度に関係なく一定に保たれる
- d運動中はすべての臓器への血流が均等に増加する
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正解:a. 活動筋の血管が拡張し、運動筋への血流配分が増加する
運動時は活動筋の血管が拡張するとともに内臓など非活動部位の血管が収縮し、限られた心拍出量が運動筋に優先的に再配分される。同時に心拍数と1回拍出量の増加で心拍出量自体も増え、酸素供給が高まる。